てんてこオタク育児記録

育児が楽しすぎるのでちゃんと記録を後世に残せるようにブログにしようと思いました。オタクの育児は変なこだわりが入るのでなにかと記録しておくと良いことがありそうです。※育児の何が正しいかは子によってそれぞれなので内容の是非はご理解くださいませ。

『純米酒を極める』上原浩

純米酒を極める (知恵の森文庫)
上原 浩
光文社 (2011-01-12)
売り上げランキング: 115357

読んだ。出会いは非常に不意で、京都の三月書房にてふらふらしてたら見つけた。前々から日本酒は純米に限るなんて偉そうに言ってたけど、じゃあ日本酒について何しってんの?って話になったら、よく分からんとしか言えんので、こりゃどうにかせにゃらんと思っていたところだった。
読んでみた結果は想像以上で、すっかり僕の日本酒のバイブルとなってしまった。
読む前は日本酒のいろはが学べれば良いかなあと思っていたけれど、書いてあることはそんなことだけではなかった。普段ドッグイヤーをしない僕もこの本ばかりは山ほど耳を折ってしまった。
『成人してからは週に2日の休肝日を除いては、一日当たり4合の日本酒を飲んでいた。休肝日にはビールを飲んでいた。』という上原氏は、文字通り一生を日本の日本酒造りの発達に注いで来た人で、書中の主張は大体一貫している。意訳すると、「日本酒はもちろん数値や文字でなく舌で味わう物だが、基本的には純米酒で、しっかり昔ながらの製法に乗っ取って作られた日本酒がおいしい。燗ならなおよし。」「歴史的には醸造アルコールの果たした役割は大きかったが、豊かになった今では必要は無い。コスト削減の為のアル添が消費者の日本酒離れを引き起こしている」と言った具合。
正直日本酒だけの話だと思うと、とちゅうからずっと同じこと言っとるやんけ、と思えてくるのだけれど(それでも内容は面白いけど)、是まさに日本酒業界の話で毛ではなくて、電力業会やら家電業界やらなんやかや、大体一緒なのではないかと読んでて思った。過去の製法とかしがらみとか利権とかに業界全体がしがみついててそのときは良いけれども、次第に全体のパイが小さくなっていって、気づいたときには自分のいる場所が無かった。もしくは、過去のいびつな仕組みの上で転がされていて、今は効率的にしてるつもりが、昔の人にお金を上げていただけだった。とか。それが純米酒はうまい、だから純米酒が良い、という非常に味覚にピュアな感覚を通じて至極すっきり頭の中に入ってくる。
だってアル添より純米酒のがうまいんだもん、そりゃその方が良いわ。
豊かさに惑わされて安心してると、めちゃめちゃピンハネされててほんとの美味しいもん持ってかれるよ、ってはなし。
ちなみに本編とは関係ないが、昭和六十年頃から「YK35」という言葉が使われ始めたらしく(意味は山田錦のYに酵母のK、35は精米歩合。)、日本人と言うのはセンスが変わらないもんだなあと思った。